Bリーグチェアマンが語る、スポーツリーグ経営の羅針盤:成功の「軸」とは?
2025-08-05

日本経済新聞
Bリーグ発足の裏側:チェアマンが明かす経営の「軸」
2015年9月15日、バスケットボール界に新たな風が吹き荒れました。バスケットボール新リーグの名称は「Bリーグ」と決定し、同時に私がチェアマンに就任したのです。開幕までわずか1年。大会方式、日程、スポンサー獲得… 決めるべきことは山積していました。
その中で、私が最優先で取り組んだのは、リーグ経営の「軸」を定めることでした。それは、組織が何のために存在するのか、つまりミッションを明確にすることから始まりました。
当時のバスケットボール界は、実業団中心のナショナルリーグ(NBL)とプロリーグのbjリーグが対立していました。NBLは日本代表選手の育成を重視し、bjリーグはプロリーグとしての運営を目指していました。しかし、どちらも十分な集客や収益を確保できず、プロバスケットボールの発展は阻まれていました。
Bリーグ発足にあたり、私はこの状況を打破し、日本に真のプロバスケットボールリーグを確立するというミッションを掲げました。そして、そのミッションを実現するための「軸」として、以下の3つを定めました。
- エンターテイメント性の追求: 単なるスポーツ観戦ではなく、エンターテイメントとして楽しめるリーグを目指しました。試合内容の質の向上はもちろんのこと、会場の演出、ファンサービスなど、あらゆる面でエンターテイメント性を高める努力を続けました。
- 収益構造の確立: リーグの持続的な発展のためには、収益構造の確立が不可欠です。チケット収入、スポンサー収入、放映権収入など、多様な収入源を確保し、健全な経営を目指しました。
- 人材育成: プロバスケットボール界の発展には、優秀な人材の育成が不可欠です。選手、コーチ、スタッフなど、あらゆるレベルで人材育成に力を入れ、リーグ全体のレベルアップを図りました。
これらの「軸」を基盤に、Bリーグは着実に成長を遂げました。ファン層の拡大、スポンサーの増加、そして何よりも、リーグ全体のレベルアップを実現しました。Bリーグの成功は、これらの「軸」をしっかりと守り抜き、常に挑戦し続けた結果と言えるでしょう。
スポーツリーグ経営は、決して容易ではありません。しかし、明確なミッションと「軸」を持ち、情熱を持って取り組めば、必ず成功を掴むことができると信じています。Bリーグの経験が、今後のスポーツリーグ経営の一助となれば幸いです。