ミサイル警報が日常に響く…クルスクの街を歩く:市民の疲弊と、終わらない戦いの影

2025-08-04
ミサイル警報が日常に響く…クルスクの街を歩く:市民の疲弊と、終わらない戦いの影
毎日新聞

ロシア西部 クルスク州の現状:ミサイル警報が日常となる街、市民の疲弊と終わらない戦い

ウクライナ軍による国境越え攻撃から8月6日で1年。ロシア西部、クルスク州は、まるで戦場の一部のように、静けさを奪われています。モスクワから約450キロ南、夜行列車で一晩かけてクルスク市へ向かった記者が、そこで見えたのは、ミサイル警報が日常となり、疲弊しきった市民の姿でした。

4月にはロシア軍が、占領地域の「完全奪還」を宣言しましたが、ウクライナ軍は攻勢を継続し、国境周辺での戦闘は依然として続いています。クルスク州は、ウクライナ北東部のスムイ州に隣接しており、日本の関東地方に近い地理的条件を持ちます。

「慣れてしまった」市民の声

クルスク市内の防空壕を訪れると、多くの住民がすでに帰宅していました。ある女性は、「ミサイル警報が頻繁に鳴るので、慣れてしまった」と語ります。しかし、その表情は疲労の色を隠せません。戦火が日常に及ぶことへの諦めともとれる、諦めきれない気持ちがそこにはありました。

スーパーマーケットでは、食料品が少しずつ値上がりしているという話も聞かれます。物資の供給も不安定になり、市民生活への影響は深刻です。若者は、より安全な場所を求めて街を離れ、高齢者や子供たちが残されたという現実も浮かび上がってきます。

戦いの影と未来への不安

クルスク市には、戦いの傷跡が色濃く残っています。建物の一部が破壊され、道路にはクレーターが点在します。市民は、いつ再びミサイルが落ちてくるかという不安を常に抱えながら生活しています。

クルスク州の未来は、ウクライナ情勢の行方にかかっています。和平交渉の兆しは見えず、戦闘は長期化する可能性もあります。市民は、いつまでこの生活を続けるのか、未来への不安を口にしました。

日本の関東地方に迫る距離

クルスク州と日本の関東地方は、地理的に近いという点で共通しています。この紛争が、遠い国の出来事ではなく、私たちの生活にも影響を与える可能性があることを、改めて認識させられます。

クルスクの街で見たのは、戦争の悲惨さと、市民の強い生命力でした。一日も早く、平和が訪れることを心から願います。

おすすめ
おすすめ